齋藤洋一イラストレーション

Artemis Central Street

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Artemis Central Street

クリスマスの夜にメインストリートを歩く二人の子供。
彼等の服はボロボロで、ひどく汚れている。
見窄らしい格好の二人は、恨めしさと羨ましさが
混じった想いで通りを抜けていく。
その男は、久し振りにこの場所に来た。
数年前のクリスマスの夜の出来事を思い出す。
そこに、子供が二人、横を通り過ぎた。
男はすぐに二人には帰る家がないと分かった。
すこし前の自分と同じ、明日すらの未来が見えない
生活を送っているのだ、そう思った。
男は彼等に声をかけたい衝動に駆られた。
その人も子供たちに気付いていた。不幸な人生を送っていることも。
雪が止んだ夜空に、クリスマスが過ぎていく。

私の過去の作品である
「クリスマスとホームレス」
という作品の続編のようなつもりで描いてみました。
普段は作品に想いをあまり込めないのですが
本作品はいろいろ詰め込んでみました。
実はこういう事情がある、という物語も
そこそこ取り入れてみました。
作中の節々にそのヒントを描いています。

「さよなら人類」で有名なたまの「パルテノン銀座通り」
という曲を聞いて、イラストに出来たらいいな、という
想いが動機のひとつにあり、本作品を描きました。

曲を聞いた印象として、
戦争で街が廃墟になった中、かつて賑わっていたメインストリートを
思い出して死んでいく人、
といったものを感じました。
歌詞に戦争も死を暗示するような言葉もありません。
更に、本作品の物語とは関連性は一切関連性はありません。
なぜか、今はなき華やかな町並み、というイメージが浮かんだのです。
これをイラストに落とし込む作業が結構大変でした。
ネガティブな題材であっても、暗い作風は避けて明るい作風で描きたかったのです。
結果生まれたのが、貧しい子供の兄妹を主役にした本作品です。

ちなみに、ショーケースのサンタクロースは
アジア唯一の公認サンタクロースである
パラダイス山元氏をモデルにしています。
彼の愛車ウニモグ(普通自家用にするような車じゃない)や、彼が家元のマン盆栽、
またマンボミュージシャンでもあるのでコンガを描いてみたりしました。
餃子の王様でもあるので右下の箱に餃子も描いたけど
そういえば飛行機乗りのプロでもあったし、入浴剤ソムリエでもあったけど、
その要素を描き忘れてしまったなあ。
山元氏の多すぎる肩書はホント面白い!

題名:アルテミス中央通り
テーマ:クリスマス、幸福と不幸、再来、回想
制作:2017-2018年
サイズ:297 mm × 210 mm
素材:ケント紙、ミリペン、Photoshop


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